糖尿病のスピッツ犬(メス、当時9歳)が治療ミスで死んだとして、飼い主
の夫妻が、東京都大田区の動物病院の院長と当時の担当獣医師2人の
計3人に438万円余の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、東京地裁
であった。
福田剛久裁判長は「必要なインスリンの投与療法をしなかった」と述べ、
院長と獣医師1人に慰謝料60万円を含む計80万円余の支払いを命じた。
夫妻の代理人の渋谷寛弁護士によると、死んだ猫をめぐって02年に宇都
宮地裁が93万円の賠償を命じるなど、ペット医療過誤訴訟の賠償額が高
額化しているが、慰謝料だけで60万円を認めたのは過去に例がないとい
う。
判決によると、スピッツは02年12月下旬に嘔吐(おうと)などの症状が出
て、翌日、同病院に入院したが、糖尿病が進行し、03年1月3日に転院先
で死んだ。判決は、夫妻が結婚10周年を機にこの犬を飼い始め、10年近
く子どものようにかわいがっており、「かけがえのない存在になっていた」と
高額の慰謝料を認めた。同病院の院長は「医療方法は経験上、適切だっ
たと思っている」とコメントした。
(2004/05/10)
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