一般の紛争には、紛争の原因があります。
たとえば、賃貸借の紛争ならば、
賃料が支払われないのを理由に、
貸主と借主が賃料をめぐって互いの主張をするわけです。
しかし、相続紛争には、原因がありません。
相続人同士が、自己の相続権を主張するのみなのです。
たとえば、次のようなやりとりが考えられます。
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長男:A男(50歳) 次男:B男(43歳) 長女:C子(47歳) A男の妻:D子(46歳)
A男:オレのところは、オヤジが死ぬまでずっと面倒を見てきた。
財産はオレが多くもらうのは当たり前だろう。
B男:いや、兄貴はその分、土地や家の心配をしなくてもよかったじゃないか。
オレのところは家のローンも残っているし、実を言うとオレの会社が今危ないんだ。
オヤジの財産は、どうしても必要だ。
C子:私のところだって、子供が3人もいるし、教育費やなんやらで一番お金がかかるのよ。
A男兄さんだけ、たくさん貰うのは、納得いかないわ。
A男:だいたいお前ら二人とも、ふだんは電話一本寄越しもしなかったくせに、
何を今更言ってるんだ。
C子:だって、電話したってD子さんが突っ慳貪だからよ。
電話をする気も失せるわよ。
A男:じゃあ、何か。D子のせいだというのか・・・
<後略>
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こんな感じで、感情的かつ不毛なやりとりが続きます。
お互いの主張は、それぞれ至極もっともな部分もあり、
平行線の議論が続くことでしょう。
お互いに、少しでも相手のことを思いやる心遣いがあれば、
争うこともないのでしょうが、
そうそう上手くいかないのが人間社会の現実なのです。
しかも、一般の紛争はもともとアカの他人同士ですから、
決着後は感情的なしこりは少なくてすみます。
しかし、相続紛争については、血のつながった肉親同士ですから、
決着がついたように思えても、
その後の付き合い方に問題を残すケースが少なくないようです。
そういった紛争を避けるために、
是非とも遺言を書きましょう!
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